詩歌作品

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【短歌20首】旅 — 盛田志保子

旅盛田志保子 駅なしにかなわぬことのいくつかを思えば燃えるような心臓 生きたまま仕留めた夏を数か月先の未来に置きにいく夢 肝試しのマインドに近いあの闇は本物だって言い続けたい 朝早く起きれば山に登る日の暗い覚悟と聳える時間 意...
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【短歌12首】somewhere — 法橋ひらく

somewhere法橋ひらく エネオスの白いひかりを過ぎていく冬の遅番勤務のあとで もういちど護られたいなレギュラーと窓と灰皿若かった父に 満タンになってしまって空っぽの、来年の冬ここにはいない        * 角切りの牛肉ビーフがマジ...
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【短歌7首】あとだし — 光森裕樹

あとだし光森裕樹 子に繁りゆく島弁を或るところまでは矯しつのち諦めつ ながれだまは避けられないがMarinesのキャンプに沿ひて子の自転車を押す 訓練の先に実戦はあるのだらうスパイク痕が塁を繫ぎぬ ――石投ぐる資格なければ其の者を石へと投...
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【短歌30首】ドゥ・ドゥ・ドゥ — 谷川由里子

ドゥ・ドゥ・ドゥ谷川由里子 まばたきで恋に落ちたらバック・トゥ・ザ・フューチャーのドクの胸飾り 3ヶ月先の寒さの完璧なムーンウォークを思い浮かべる 月がひかってる月がひかっているチャンスを棒に振るように生きて 木が根から抜かれる...
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【短歌20首】初夢 — 原田彩加

初夢原田彩加 占いの看板の灯を過りつつ現状維持のまま冬がくる 水たまりに浮かぶイチョウの小ささは疎遠になった人の小ささ 同じ生地で作られているスカートと地下鉄の駅にてすれ違う 変わらない水面を漕いでゆくように一日一往復のメールで...
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【短歌7首】水のほつれ — 小田島了

水のほつれ小田島了 傷つくほどの重みもなくて散らばったグラスの破片を踏んづけていく おそらく水がたまるのだろう裏口に親指ほどの苔のかたまり 内側につぶれるように向日葵が枯れてしずかに苦を抜けていた 柑橘類の果肉のように透きとおり日なたの水...
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【短歌8首】砂糖の森 − 睦月都

砂糖の森睦月都 霜月の森に入れば甘い匂ひいづれ会ふまでの時間を歩く とまり木にとりどりの鳥、鳥は鳥の骨格通り羽を広げる 刀鍛冶のごとくに研ぎてしならせて鳥は尾羽のするどさ保つ やはらかな鱗の覆ふまなぶたが音無く落ちぬ、鳥の眠りに...
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【短歌12首】りんごの味 – 椛沢知世

りんごの味椛沢知世 タピオカに生まれるはずが間違えたようなニキビを眠るまで触る 手首から慣れないにおいいいにおいいつもより顔まわりを触る 目がかゆいのは春か秋友だちの誕生日だいたい覚えてる かわいいと人に言われてつぶやけば口からスクランブ...
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