詩歌作品

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【井の頭公園時間差吟行】八月十五日(日) — 原田彩加

八月十五日(日) 原田彩加 雨の日は視線が下がりがちになる水面のツツイトモを見ている 見るべきは池の水草、水草に刺さった缶の底の銀色 水中で生きるタイプの水草が雨の日は手を伸ばそうとする 雨ざらしのチラシをもらうしっとりと湿ったそ...
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【井の頭公園時間差吟行】八月二十一日(土) — 睦月都

八月二十一日(土) 睦月都 葉洩れ陽を白い日傘にうけるとき浮きあがる屋上遊園地 鳥獣保護区に入りつつ反芻してゐたり女のひとの子どもを産む夢 サンペレグリノの緑の瓶をつたひゆく汗・ねむくなる・ひとりでゐると ひぐらしの水面さわだつこゑ...
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【井の頭公園時間差吟行】八月二十二日(日) — 温

八月二十二日(日)温 一つ目の巨人が出たというそれを見に井の頭公園へ行く 日曜の朝7時ってテレビこんなおもしろいんだ…もあったりしつつ バスってのかいこの乗り物はいいねぇとバスをペチペチしてるおじさん 車窓には青い住宅街をゆく人たち...
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【井の頭公園時間差吟行】八月十一日(水) — 椛沢知世

八月十一日(水)  椛沢知世 薄い空に蟬声は抜け白鳥のボートを見つつ飲むヨーグルト 電動のろくろ回しの上にいるよう毛づくろいの鴨に水の輪 行く方を迷えば耳に垂れてくるリボン 枝先に結ばれている 紫陽花の一つがまだ青い色してて水の入っ...
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【短歌12首】記載した炎 — 新上達也

記載した炎 新上達也 健康のために画面を見る際は目の奥のしずかな雨を聴け 大丈夫としか言えない吹き抜けの天窓の月ほどの遠さで 安全にご利用いただくために死ぬすべての緩衝材に祈りを 太陽が川で沈んでひかってる架空の犬を連れて歩...
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【短歌8首】太陽の位置で方角がわかる — 相田奈緒

太陽の位置で方角がわかる相田奈緒 十月の頭に胸を破られて破れ目を出たり入ったりした まばたきをすればこぼれる、ばちん、ぼたん、太陽がぐんぐんと朝を昇る 蜘蛛が壁の高いところへ向かってる下でドライヤーをかけている 電球が切れてはずし...
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【俳句20句】オールドファッション — 福田若之

オールドファッション福田若之 紙のやわらかみ咳して思い出す 揺れうごく昼夜の末の枯れすすき 山並みが遠吠え色に暮れる冬 しぐれては木の実が土のうえに照る 水の涸れた筋目を鹿が駆けのぼる 風は樹のまなざし冬の野を届く 冬眠の...
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【短歌7首】TOKYO 2020 — 牛尾今日子

  TOKYO2020牛尾今日子 ほんまそれって敬体で言う言い方も分からないまま言わなくなって 入れない芝の上にも葉は落ちて火があればよく燃えそうなのに 糸端が裾から垂れるびろびろをむしり取る手に力を込めて ポケットに財布の入るジャンパー...
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【短歌30首】ラベンダー・サンダー — 谷川由里子

ラベンダー・サンダー谷川由里子 ドクが胸に挿したのもピーターラビットのうさぎたばこもラベンダー くじけなかった日の満月はまるい月光に照らされる眼球よ はじめての外耳炎のはじめての薬疹のラベンダー色のあと ぺらぺらと捨てられている...
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【短歌20首】旅 — 盛田志保子

旅盛田志保子 駅なしにかなわぬことのいくつかを思えば燃えるような心臓 生きたまま仕留めた夏を数か月先の未来に置きにいく夢 肝試しのマインドに近いあの闇は本物だって言い続けたい 朝早く起きれば山に登る日の暗い覚悟と聳える時間 意...
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