【井の頭公園時間差吟行】八月二十三日(月) — 吉田恭大

    八月二十三日(月)   吉田恭大

音のする方へ水門通りを下り、下るとそこに水門がある

行き交えば犬と歩いている人と、犬を抱えて歩いてる人

平日の夜に明るい改札を背にして出てくるのも  市民たち

この池に鴨を放したことがあり、その後の鴨のことは知らない

市民たち、市民たち、みな封鎖したベンチの上で乾杯をして

夜のドンキ、それに類するものたちといつしかとおいところまで来る

公園で僕たちのやる花火って  わかる  やらないけど  わかる

夜の電車の終点にある河口湖  目が醒めるまで向かっていたい

◇吉田恭大(よしだ  やすひろ)
@nanka_daya  「北赤羽歌会」「うたとポルスカ」運営。塔。第一歌集『光と私語』(二〇一九年・いぬのせなか座)。


 夜。職場の前から水門通りをまっすぐ南下する。井の頭通りと京王井の頭線を渡り、公園の敷地に入ると水門がある。ここは井之頭公園の東側に位置する。井の頭公園駅のセブンで発泡酒を買い、公園へ引き返す。犬の散歩、自転車、ジョギング、ウォーキング。吉祥寺駅に近づくと、ちょっと開けたところから煙たくなっていて、何グループかの若者が酒を飲み、花火をしている。人が花火をしている光景を、久しぶりに見た。

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