【短歌12首】somewhere — 法橋ひらく

  somewhere    法橋ひらく

エネオスの白いひかりを過ぎていく冬の遅番勤務のあとで

もういちど護られたいな レギュラーと窓と灰皿 若かった父に

満タンになってしまって空っぽの、来年の冬ここにはいない

       *

角切りの牛肉ビーフがマジで入ってるカレーパンで有名な店のカレーパン

自撮りして、速攻削除して何をやってんだろう鳩に好かれて

引っ越しの前夜ねじ込まれたチラシなんとなく持ってきてしまった

寂しさじゃなくて広さの寒空に君は今ごろチェロの先生

履歴書を書くのはうんと久しぶり指の油をしつこく拭いて

低く射す西日に胸は穿たれて新快速のなかのサバンナ

自分から自分を救う必要があって湯豆腐 泡立っている

ずっと日向の道を歩いてきたようなひとと言われてそれならそれで

春の泥、春のブーツに跳ね返り心の中にいる郵便夫   

◇法橋ひらく(ほうはし ひらく)
第一歌集『それはとても速くて永い』(書誌侃侃房、2015年)
みんな元気ですか。元気でね。

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