詩歌作品

【井の頭公園時間差吟行】井の頭池をそぞろ巡りて 九月五日(日) — 奥村晃作(特別ゲスト)

井の頭池をそぞろ巡りて 奥村晃作 整理券持たざる我は動物園入はいれず池の巡りを歩く コナラとう名なれど古木大樹にて苔蒸す幹を枝をし見上ぐ エゴの樹はまん丸の小ちさき青き実を葉は間あいに付けて池のべに立つ 作りたる己おのが網いの巣の中...
詩歌作品

【井の頭公園時間差吟行】八月十五日(日) — 原田彩加

八月十五日(日) 原田彩加 雨の日は視線が下がりがちになる水面のツツイトモを見ている 見るべきは池の水草、水草に刺さった缶の底の銀色 水中で生きるタイプの水草が雨の日は手を伸ばそうとする 雨ざらしのチラシをもらうしっとりと湿ったそ...
詩歌作品

【井の頭公園時間差吟行】八月二十一日(土) — 睦月都

八月二十一日(土) 睦月都 葉洩れ陽を白い日傘にうけるとき浮きあがる屋上遊園地 鳥獣保護区に入りつつ反芻してゐたり女のひとの子どもを産む夢 サンペレグリノの緑の瓶をつたひゆく汗・ねむくなる・ひとりでゐると ひぐらしの水面さわだつこゑ...
詩歌作品

【井の頭公園時間差吟行】八月二十二日(日) — 温

八月二十二日(日)温 一つ目の巨人が出たというそれを見に井の頭公園へ行く 日曜の朝7時ってテレビこんなおもしろいんだ…もあったりしつつ バスってのかいこの乗り物はいいねぇとバスをペチペチしてるおじさん 車窓には青い住宅街をゆく人たち...
詩歌作品

【井の頭公園時間差吟行】八月十一日(水) — 椛沢知世

八月十一日(水)  椛沢知世 薄い空に蟬声は抜け白鳥のボートを見つつ飲むヨーグルト 電動のろくろ回しの上にいるよう毛づくろいの鴨に水の輪 行く方を迷えば耳に垂れてくるリボン 枝先に結ばれている 紫陽花の一つがまだ青い色してて水の入っ...
詩歌作品

【短歌12首】記載した炎 — 新上達也

記載した炎 新上達也 健康のために画面を見る際は目の奥のしずかな雨を聴け 大丈夫としか言えない吹き抜けの天窓の月ほどの遠さで 安全にご利用いただくために死ぬすべての緩衝材に祈りを 太陽が川で沈んでひかってる架空の犬を連れて歩...

【ブックレビュー】『サワーマッシュ』(谷川由里子)

(執筆者:温)  この本の表紙は不思議な色をしている。何色と表現すればいいんだろう。遠い国の海の色みたいな感じ。つるつるして光沢のあるこの紙には、「SOUR MASH YURIKO TANIGAWA」と印字されている。 開くと目次が...
異郷幻灯

【異郷幻灯】09.風街——染野太朗

旅先で訪れた町や、行ったことはないのになぜか心惹かれる場所、また、旅を詠った詩歌について……。そんな、心の中にある「異郷」をテーマに、自由な切り口からエッセイを書いていただくリレーエッセイ企画、第九回は歌人の染野太朗さんです。  五...
おしらせ

谷川由里子第一歌集『サワーマッシュ』オンライン先行販売&予約開始のお知らせ

左右社より刊行の谷川由里子待望の第一歌集『サワーマッシュ』を、うたとポルスカにて3/31よりオンライン先行販売します。 口語短歌の先鋒として活躍してきた著者の短歌300首を収録。帯文・曽我部恵一、解説・大森静佳。

【一首評】木曜日のひびきが好きで有休をとるなら木曜日に休みたい/椛沢知世「りんごの味」(吉田恭大)

木曜日のひびきが好きで有休をとるなら木曜日に休みたい椛沢知世「りんごの味」  分からないときは図に書いてみよう。図に記すその手つきを追っていると、何のことだったのかわかる。まさにいまこの人は図を書いているところ、みたいな把握の瞬間が...
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