太陽の位置で方角がわかる 相田奈緒
十月の頭に胸を破られて破れ目を出たり入ったりした
まばたきをすればこぼれる、ばちん、ぼたん、太陽がぐんぐんと朝を昇る
蜘蛛が壁の高いところへ向かってる下でドライヤーをかけている
電球が切れてはずした何日か前 ここでひねりながら伸びながら
獅子型のドアノッカーの鼻先の下にある影 触る手の影
夢の中の私は喋ったことがないナッツを買って乗るエレベーター
毎朝に夜明けがあってもったいない今ある色で顔はあふれる
アコーディオンの吹子の行きつ戻りつのなかの力を思い出してくる
◇相田奈緒(あいだ なお)
北海道出身。東京都在住。短歌人会所属。
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