古都クラクフのクリスマスマーケット

ポーランド日記

22日の夜から23日、1泊2日でポーランドの古都・クラクフに滞在した。
クラクフのクリスマスマーケットを見てみたいと思ったのだ。

ポーランドの中では最大規模のマーケットが開かれるという。ワルシャワのクリスマスマーケットがとてもよかったので、クラクフのほうも見てみたいなと思った。

18:48、ワルシャワ中央駅から電車に乗る。
IC 407、別名「ショパン号」というウィーン行きの寝台列車だった。故郷ワルシャワを離れ、音楽家としての将来のためにウィーンへと向かったショパンの境涯になぞらえての愛称だろう。

2等車の運賃は片道60PLN(約1800円)で、到着までの所要時間はおよそ2時間45分ほど。
ワルシャワ・クラクフ間を移動する鉄道は他にEIPやEICという高速鉄道もあったのだが、同じ時間帯で調べるとEIPは値段が150PLN(約4500円)とICと比べるとかなり高く、時間も30分ほどしか変わらなかったのでICにした。

チケットはポーランドの鉄道会社PKP intercityのサイトから購入することができる。 https://www.intercity.pl/en/

クラクフ行きは当日急に思い立って決めたので、電車に乗ってからスマホで適当に宿を探し、旧市街に近いアパートメントホテルに予約を取る。一室2500円くらいだった。
ちなみにドミトリーなら一泊500円前後でたくさん出てきた。この先のどこかで生活に行き詰ったらクラクフのドミトリーに行こう、と思う。

21時半過ぎにクラクフに到着。
ホテルに荷物を置いて、クリスマスマーケットの開かれている旧市街の中央広場へ向かう。ホテルはいたって普通の、過不足のないホテルだった。館内や部屋に鳥の絵がたくさん掛かっていてうれしかった。

良い三叉路

旧市街に差し掛かるとパカラッパカラッと軽快な音が聞こえて、見ると、馬車が走ってきた。

浅草の人力車、カッパドキアのラクダ、クラクフの馬車。観光地だなあと思いつつ、ちょっと乗ってみたい。メルヘン。

到着が22時過ぎと遅かったため屋台はすでに閉まっているものも多かったので、しっかりと見てまわるのは明日にしようと思いつつ、中央広場付近をぶらっと一周する。

なんといえばいいのか、街に漂う空気が濃い。空気と影が濃い。
四方田犬彦が『土地の精霊』の中でクラクフ滞在記を書いていたのを思い出す。「クラクフは死者の都市(ネクロポリス)だ——」と、誰だったか、映画監督から言われたというエピソードから始まっていて、それがやたらと記憶に残っていた。陰と陽、そのどちらのエネルギーも強い感じ。

二日目は旧市街の中心にある聖マリア教会、ヴァヴェル城、旧ユダヤ人街のカジミエシュ地区を観光し、日が落ちた16時頃に再度クリスマスマーケットに向かった。

あいにくの雨だったけれど、クリスマスマーケットは多くの人で賑わい、活気を見せていた。織物会館から中央広場へ出て、まず漂ってきたのは温めたチョコレートのにおい。それから煮キャベツのにおい。パンのにおい、チーズのにおい、肉のにおい。冬の冷たい空気とともにさまざまな匂いが鼻腔を通り抜けていき、灯りが石畳に滲んで、夢で見た場所を歩いているような、どこか落ち着きのない気持ちになる。

市場では、お世話になっているAirbnbのホストとその家族へのクリスマスプレゼントに、靴下とクッキーを買った。

それと自分のために、人形を二体。

クリスマスマーケットだけでなく、昼間の旧市街やカジミエシュ地区も散策しがいがあってとてもよかった。今回はあまり時間がなくてカジミエシュ地区は軽く立ち寄っただけになってしまったのだけど、雰囲気が若くて活気がある感じがして、次はもっと時間をかけてまわりたい。

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