12/18(水)、第37回神保町歌会が開催されました。
「神保町歌会」は相田奈緒、坂中真魚、それと本稿の筆者である睦月都の3人が2016年から始めた歌会で、およそ1ヶ月に1回、平日の夜に、都内の貸し会議室などを借りて開催しています。
私自身も第1回からほぼ欠かさず出席してきたのですが、しばらく海外にいるため、その間は坂中さん・相田さんのご協力を得てSkypeを通じて遠隔参加という形を取ることになりました。
Skype等でのオンライン歌会はこれまでにも何度か経験がありますが、リアル歌会に、自分一人だけ遠隔参加する……といった経験は初めてでした。
やってみたら楽しくて、遠隔でもわりと違和感なく参加できたように思うので、やり方や感想のメモを残しておきます。
環境
日本側
・会場はWi-Fi付きの貸し会議室(spaceeで予約)
・参加者9名
・司会(坂中)が私物のMacbookを持ち込み、接続
・マイク・スピーカーはMacbookに付属のもの
ポーランド側
・自室からMacbookで接続
・参加者1名
・マイク・スピーカーはBluetoothイヤホンマイクを使用
使用ソフト
・Skype
→今回は2拠点間での簡単な運用だったので、ソフトウェアの選別は特にこだわりませんでした。
テレビ会議システムもいろいろあって、より多くの拠点から同時接続が可能だったり、ソフトウェアのインストールやアカウントの作成が不要で、Webブラウザで開けばすぐに繋がるものなど、探せばいろいろ出てくるので、ニーズに合わせて選択するといいかと思います。
感想
始まる前は正直、日本側のリアル会場で交わされている会話についていけるのか不安だったのですが、始まってみると想像以上に「参加してる」感があり、ちょっと感動しました。
嬉しかったのはやはり、「お互いの顔を見て喋る」ができたことでしょうか。
きょうの歌会、睦月さんふつうに居た感覚ある
— 山本まとも (@ymmatomo) December 18, 2019
スカイプ歌会で、こんなに居た感出ることないけど、みんなカメラつければあれも居た感出るのかな。それとも、ある程度の人数は実際に待っていて、そこに足されるからかな。
— 山本まとも (@ymmatomo) December 18, 2019
これを自分もすごく思いました。
今回はこちらからの参加者が私ひとりだったので、会場の席に置かれた画面に私ひとりの「顔」が映し出されていたのですが、
この「ひとつの画面に一人が”居る”」という状況が、テレプレゼンスに好条件だったのかなあ、と思います。
こちら(遠隔参加側)から見ていても、自分が喋りだすと参加者がこちらを注目したり、自分の身振り手振りに反応してくれたり、ちょっとうまく言えないんですが、自分の「分身」が物理的に会場にいる、という感じがして、おもしろい臨場感がありました。
技術的にはなにも特別なことはしておらず、Skypeで繋ぐだけでふつうにできたのでほかにはあまり書くことがないのですが、いくつか気づいたことを。
まず、参加者の人数や会場の広さがちょうどよかったかな、と思います。
会場はマンションの一室のようなところで、最大12名が入れる席数でしたが、画面を見る限りでは詰めて座ってぎりぎりな感じの、コンパクトな部屋。
そのぶん人が集まるためか、一番遠くの席に座っていた人の音声もクリアに聞こえていました。映像も問題なく、会場の方々の表情や反応が見えやすかったです。
逆にあまり広すぎる会場だと、音声や映像を拾うのが難しくなりそうだなと思いました。
あと、音声の入力はなるべく独立したマイクを使用したほうがいいかなと思います。
経験上、ノートPC付属のスピーカー・マイクを使用すると、ハウリングが起きたり、音声が不明瞭になる場合が多いです。
今回は、遠隔参加者はイヤフォンマイク、会場ではMacbookのスピーカー・マイク使用で、いい感じの音声になりました。
ほかには細かいところですが、遠隔参加者の画面の位置は、司会の視線が行きやすい場所のほうがやりやすいかも。
今回は司会と画面がテーブルの角を挟んで斜め横にいたのですが、挙手が伝わらず、発言のタイミングを掴みづらい場面がいくつかありました。
ただ、そのときの最適な配置は会場や参加者の数によっても変わってくると思うので、トライアンドエラーあるのみかな、と。(あとリアル参加でも「挙手に気づかない」はわりとよくある)
全体的にはつつがなく、というか、なんだか本当ふつうに「歌会したなー」という感じでした。
神保町歌会ありがとうございました〜
遠隔参加、ほとんどタイムラグもなく会話も評もできているのを見て、歌会の可能性の広がりを感じました。たのしかったです。写真は休憩時間中のちいさい文フリ pic.twitter.com/byGcLxMFD7— いぬいはるか (@harutanka) December 18, 2019
神保町歌会、睦月さんがPCの中にいるのが面白くて、最初ははしゃいだんですけど、思った以上にスムーズにふつうに歌会できました。試みにお付き合いいただいたみなさんありがとうございました!またぜひやろう。
— 相田奈緒 (@aidana_t) December 18, 2019
日本側も「ふつうに歌会できた」という感想だったようで、よかったです。
この方法、自分のように海外にいたりして物理的な距離がある場合のほかに、小さなお子さんがいてなかなか家から離れられない方、移動がしづらい方など、いろんな場面で活用できるのではないかなと感じました。
海外で短歌をすること
ポーランドへの留学は自分で決めたことですが、そうなってまず心配だったのが「短歌どうしよう」ということで、歌会に参加できなくなることも、心配事のひとつでした。
短歌をつくるのはどこでもできるけど、歌集を手に入れて読んだり、評を読んだり、評をしたり、歌会やイベントに出たり、ということが、日本国外だと——もっと言うと「東京」以外だと——とたんに困難になります。
そういう困難を、自分のいる場所で、自分のできる範囲で、どういうふうに取り除くことができるかな、という実験をしたいなと思っていて、今回の遠隔参加の試みも、そのうちのひとつでした。
神保町歌会への遠隔参加を思いついたとき、自分ひとりのために他のひとの手をわずらわせるのもな……とちょっと思ったのですが、
相談してみたら相田さんも坂中さんも「いいねー面白そう、やろうやろう」と二つ返事でOKしてくれて、ありがたかったです。
会場選びから機器の持ち込み、セッティングをしていただいた坂中さんや相田さん、進行にご協力いただいたご参加者のみなさま、ありがとうございました。
しばらくこんな感じでやっていくので、またどうぞよろしくお願いいたします。
それはそれとしてPCの中にいる歌人みるのおもしろかったな。
— 相田奈緒 (@aidana_t) December 18, 2019