ポーランド日記 12/2 – 12/5

ポーランド日記

12/2(月) 曇 0℃
ワルシャワ・ショパン空港に定刻通り着陸する。
入国審査を終えて、荷物を取ってゲートを出ると、まだ朝の8時前だった。Airbnbで取った部屋のホストには早い時間の到着でも問題ないと言われていたが、さすがに早すぎる気がしたので、空港内のショップでSIMを購入し、朝食がてらカフェに入ってSIMの設定をして、時間をつぶす。

空港からタクシーで約30分、中心街からもほど近い地区に、目的のフラットはあった。
タクシーの窓から見えた旧市街の華やかな様子とは異なり、やや無機質な団地が並ぶ地区で、しばらく滞在するフラットもそのひとつだった。

インターホンを押すと、50代頃の女性がにこやかに迎えてくれた。ホストのアガタさんだ。小脇にキジトラのネコを抱えている。
部屋に入ると、他のネコたちもにゅっと顔を出した。キジトラ、ブチ、それとよく似た黒ネコ×2の、計4匹。

内装は温かみのある調度品で揃えられていた。
リビングには壁一面に本棚が備え付けられ、そこにぎっしりと本が詰まっている。ポーランド語の本なので読むことはできないのだが、本がたくさんあるというだけで自動的にうれしくなる。

このフラットはアガタさんの住居で、そのうちの空いている部屋をひとつ、元々は娘さんの使っていた部屋を、私のような旅行客に貸し出している。

まずはひととおり、家の中を案内してもらう。
キッチンやリビング、バスルームは自由に使っていい。洗濯機はここ。棚はここ。バスルームを使ったあとは床をモップで拭くこと。シャワーで濡れてしまうから。それと食品は必ず冷蔵庫にしまうこと。ネコが盗んで食べてしまうから。他に難しいルールはない、ということだった。
このフラットには一ヶ月ほど滞在する。

長時間のフライトで疲れが溜まっていたので、ベッドでひと眠りする。目が覚めると一時間ほど経過していて、おなかの上にはさっきのキジトラが乗って、私よりも熟睡していた。

夕方に少し外に出て、近くの小さなスーパーで買い出しをし、夕飯にする。

生のラズベリーがスーパーに売ってるのはじめてみた


12/3(火)  晴 1℃
前々日から細切れの眠りが続いたせいで、今朝も5時頃に目が覚めた。外はまだ真っ暗だ。ぼんやりしながら日の出を待つ。今日の日の出は7:25。
窓を眺めていると、暗い中をときどき車や人が通っていくのが見える。

ほんの数分、遠い空がほんのりと山火事のように赤くなって、それから夜が明けた。

前日の残り物で朝食を済ませ、二度寝をしてから、午前中に部屋を出る。
ここから旧市街までは徒歩20分くらいのようなので、散歩がてら歩いていくことにする。 特に公園と銘打たれているわけではない場所にも自然が多く、この日はシジュウカラをたくさん見かけた。

旧市街は、なんというか、「旧市街」と言われて想像する街並みそのものだった。

そもそも「旧市街」という言葉はずるいって前々から思っていた。かっこよすぎるでしょう。へたに歌会とかに出すとひんしゅくを買う系だ。

標識とかトラムとか、こういうのがものめずらしくてかわいいのも最初の3日くらいだと思うので、いまのうちに撮っておく。

12/4(水)  小雨 4℃
昼過ぎまでベッドでごろごろしていると、ネコが1匹おなかの上に乗ってきて、無抵抗でいたらもう1匹脚に乗ってきて、最終的に3匹乗ってきた。とてもあたたかい。彼らにとっても同様のことと思う。

しばらくそうして寝ていたのだが、だんだんおなかが空いてきたので、ネコを1匹ずつどかして出かける。

昨日はきれいに晴れていたが、今日は一日中ぐずぐずとした天気。ワルシャワは天気が悪いほうが雰囲気が出て、かわいい気がする。

目についたタイ料理店に入り、トムヤンクンとスプライトを頼む。
トムヤンクンはおいしかったが自分の知っているトムヤンクンよりまったりした味わいで、ポーランド人向けに調整するとこんな味になるのかなと思った。わたしは今まで東京で日本人向けに調整されたトムヤンクンしか食べたことない。

16時過ぎにもなるととっぷり暮れてしまって、人通りも街灯も少ないので、夜が深くて長い感じがする。
特にどこに向かうでもなくだらだら歩いていると、トラムの線路沿いに小さな古着屋を見つけた。

こちらに着いて初日に気づいたのだけど、こちらの人はみんな暖かそうな帽子をかぶっている。みんなじゃないけど、だいたい8割ほどの人がかぶっている。

ワルシャワ寒いと聞いていたから、わたしも日本からダウンやら裏起毛のタイツやらありったけの防寒具は持って行っていたのだけど、頭の防寒は盲点だった。
ついでに言うと日本にマフラーを忘れてきてしまって、ここ数日はずっと首をすくめながら外を歩いていた。マフラーと帽子。

入り口からそっと覗いてみると、ある。帽子もマフラーも籠に山積みにされている。

ポーランドの古着屋は日本のものと違って、アイテムごとの値付けはなく、キログラムあたりいくらで量り売りされる。らしい。以前何かで調べたとき、インターネットにそう書いてあった。古着屋というよりは、リサイクルショップといったほうが近いかもしれない。
この店の入り口にも大きく「CENA 57zł/kg」と提げてある。「CENA」は値段。1ズウォティがだいたい30円なので、キログラムあたりせんはち、1700円ちょっとか……と頭の中で暗算する。
マフラーや帽子の重さなんて量ったことがないが、まあふたつ合わせても1kgを超えることはそうないだろう。心をきめて、扉を開ける。

ところで、この国はなんでも量り売りだな、と思う。スーパーに行っても、お肉やら野菜やら果物やらキャンディやら、だいたいキログラムあたりいくらの量り売りでシステムが回っている。
オレンジやザクロが1個あたり何グラムくらいなのかなんて考えたこともないから、とりあえずレジに持って行って初めて値段がわかる、ということが多い。

しかし食料品はまあわかるけど、服って、ブランドとか素材とか状態とか流行とかで結構値段が変わるものじゃないのか。いちおう、店内はこのコーナーはいくら、このコーナーはいくらと何段階かに値段に段差をつけられてたけど、そんな大雑把でいいのかな。買うほうとしてはありがたいけど。

そんなことを考えながら玉石混交の古着の山の前を15分ほどかき分け、どうにかこうにか良さそうなニット帽とマフラーを発掘して、一緒にレジに持っていく。

レジにいたのはおしゃれなおばあさんだった。ちょっと孔雀っぽい。
アジア人の客がめずらしいのかすこし訝しげな視線を送られたが、ポーランド語で「こんにちは」と言うとぱっと表情を明るくして、目尻をいっぱいに下げて「こんにちは」と返してくれた。
秤に乗せて計算してもらうと、ふたつあわせて合計19.9ズロチ(約600円)だった。安い。うれしくなってにこにこしておばあさんを見ると、おばあさんもにこにこしている。

店を出てさっそく帽子をかぶり、マフラーを巻くと、思いがけないほどの暖かさに包まれて強い気分になった。

夜、たくさんの料理を作っていたアガタさんをつかまえて、それぞれのネコの名前を教えてもらう。

12/5(木) 晴れ 1℃  
午前中に事務作業を済ませ、簡単に食事をして、午後にはすることがなくなる。
どうしようか迷って、ネコたちと一緒にお昼寝する。観光をぜんぜんしていない。

日が暮れてきて、食料調達のためにしぶしぶ外に出る。一回外に出ると足が軽くなって、今日はちょっと行ったことのないスーパーに行ってみようかという気になる。
私は土地それぞれのスーパーというのがかなり好きで、旅先では、必ずスーパーや市場を覗いてしまう。特に好きなのは野菜売り場と魚売り場で、これは土地によっても、店によっても性格が出るので楽しい。

Googleマップを開いてみるとここから歩いていける距離にショッピングモールがあるようだったので、そちらのほうまで歩いていった。昨日、帽子とマフラーを買って本当に良かった。寒い中での稼動時間が25%ほど増えた感じがする。

ショッピングモールは、自分の想像していたショッピングモールの百倍立派なショッピングモールだった。

外国の広大なスーパーだ。外国の広大なスーパーはいつだって素晴らしい。いつも使っている近所のミニスーパーには鮮魚コーナーはないのだが、ここはよりどりみどりのお魚を多数揃えていた。生簀もあった。お金持ちのジャグジーみたいに大きい生簀の中を見たことのない大きな魚がうろうろ泳いでいたりして興奮する。

商品は秤に乗せてボタンを押すと、
値札が出てくるので貼る。このオレンジはひとつ40円くらい

興奮しながらスーパーを回っていると、ホストのアガタさんからのメッセージが届く。今週末のホームパーティーのお誘いだった。都合がよければぜひ参加してね、食べ物も飲み物もたくさんあるし、気のいい友人ばかりです。
私のカレンダーはずっと空白なのでもちろん都合はよく、お誘いありがとう、喜んで参加します、と返信する。

果物をたくさん買って帰る。こちらは果物が安くてうれしい。ずっと果物を食べている。

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