詩歌作品 【短歌20首】アドベントカレンダー — 笠木拓 アドベントカレンダー 笠木拓 枕辺のノートに岸と岸つなぐスパイラルあり朝につめたし うつしよの丘なるZOOへ秋晴れと呼ぶのもきっと最後の午後に 内腿はほのかに斑の淡いこと見せつつよぎりゆくきりんかな からっぽな湯殿のふち... 2023.12.14 うたとポルスカ 詩歌作品
評 【きょうは傘とか歌ありがとう 6】俵万智『未来のサイズ』 ― 笠木拓 朝ごとの検温をして二週間前の自分を確かめている 俵万智『未来のサイズ』 3章構成の歌集の、巻頭に置かれた歌。Ⅰ章は「2020年」の副題が付されており、掲出歌も新型コロナウィルスの流行により変化を余儀なくされた生活の一部を切り取... 2022.03.16 笠木拓 評
評 【きょうは傘とか歌ありがとう 5】山下翔『meal』 ― 笠木拓 待つ宵に更けゆく鐘の聲聞けばあかぬわかれの鳥はものかは 小侍従 吐き出してしまへば楽になるやうな宵の大路が蟬声を吐く 山下翔『meal』 これを書いている今、わたしたちはながい〈待つ宵〉にいる。 小侍従の歌は歌人の二つ名の由... 2022.02.05 笠木拓 評
評 【きょうは傘とか歌ありがとう 4】山木礼子『太陽の横』 ― 笠木拓 『太陽の横』は山木礼子による自らの指名手配書である。 後ろ手に髪をくくれり夜の更けを起きて詩を書くならず者にて しぼみたる胸をしぼれば耐へがたく美談のやうにまだ乳が出る 三年をともに過ごして子はいまだ母の名前を知らずにゐたり ... 2022.01.04 笠木拓 評
評 【きょうは傘とか歌ありがとう 3】島田修二『渚の日日』 ― 笠木拓 筑摩書房の『現代短歌全集』第17巻を一息に読んだのは、大学を休学して実家に戻っていたときだった。とりあえず新しいほうから読もうと思って、まずは昭和55年から63年まで刊行の歌集を収めるこの巻を手に取った。多かれ少なかれ「自分の悲... 2021.11.28 笠木拓 評
評 【きょうは傘とか歌ありがとう 2】高島裕『盂蘭盆世界』 ― 笠木拓 青天のごとき声もて問ふべきに 9条改正論の萎え魔羅 高島裕『盂蘭盆世界』 記憶が正しければ、歌会でこの歌を読んだのは2016年の春だった。 集団的自衛権の行使容認を含む、いわゆる安保法制が施行されてまもなくのこと。それが国益だ... 2021.10.26 笠木拓 評
評 【きょうは傘とか歌ありがとう 1】谷じゃこ『クリーン・ナップ・クラブ』 ― 笠木拓 歌人の笠木拓さんが毎月一冊の歌集を取り上げる歌集評連載。第一回は谷じゃこ『クリーン・ナップ・クラブ』です。*** (執筆者:笠木拓) 谷じゃこさんの短歌を読んでいると、真面目だなあといつも思う。 ピザまんの紙を夕日... 2021.10.02 笠木拓 評
異郷幻灯 【異郷幻灯】08.ウシュアイア——笠木拓 旅先で訪れた町や、行ったことはないのになぜか心惹かれる場所、また、旅を詠った詩歌について……。そんな、心の中にある「異郷」をテーマに、自由な切り口からエッセイを書いていただくリレーエッセイ企画、第八回は歌人の笠木拓さんです。 子ど... 2020.12.25 うたとポルスカ 異郷幻灯
杉原一司歌集刊行記念 【杉原一司一首評/笠木拓】お前の掌《て》に掌《て》を重ねあふみぢめさは知りゐてなほも星くらき夜を (執筆者:笠木拓) お前の掌てに掌てを重ねあふみぢめさは知りゐてなほも星くらき夜を 杉原一司 わたしなら「星明あかき夜を」にするだろう。天上でまぶしくすずしげに、清潔に光る星々と、求め合うからには互いに手をくださずにいら... 2020.05.15 杉原一司歌集刊行記念企画 杉原一司歌集刊行記念