あとだし 光森裕樹
子に繁りゆく島弁を或るところまでは矯しつのち諦めつ
ながれだまは避けられないがMarinesのキャンプに沿ひて子の自転車を押す
訓練の先に実戦はあるのだらうスパイク痕が塁を繫ぎぬ
――石投ぐる資格なければ其の者を石へと投げよ あまたなる腕
――殺してはならないことを教ふるに殺すが早し さてなに殺さう
砂場には砂の騷立ちあとだしを知つたのだから勝つてごらんよ
黄を帯びてなほ月白し放さないからと云ひつつ放す自転車
◇光森裕樹(みつもり ゆうき)
石垣島在住。歌集に『鈴を産むひばり』『うづまき管だより』『山椒魚が飛んだ日』。
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