うろ 杉本茜
あなたに潜む異邦人を探りあて踊るよあなたを除け者にして
paper moon, paper water 洗われて目が焼けるほどぴかぴかの指
犯罪を口にふくめば舌先がまろみや角を探ろうとする
針の筵 あなたはわたしを駆け下りて擦り傷だらけの脛をこさえる
理想の雪女を作ろう! 愛と剽窃で揉みくちゃの雪女
じきに別れる体と魂なのだから結び目のようなピースサインを
プリマ跳ぶ というより浮く 苛烈なものをはだかにすると現れる羽
鰐の皮膚が鞄になるまでの時間を鞄職人は引き受ける
剥いても剥いても身の白い蟹、かろうじて人の顔を判別できる夢
手はあなたのパーツで最も他人に近く、あなたの手にかかるライスシャワー
服を売り払えば服に棲みついたさもしい幽霊たちとはお別れ
泳ごう死ぬまでの贅沢品として腕に顔に触覚を浴びせて
◇杉本茜(すぎもと あかね) 2000年生まれ。2015年に短歌を始める。見る/見られる。読者になってくださった方に感謝します。ありがとうございました。