杉原一司歌集刊行記念

【杉原一司一首評/乾遥香】沈黙のたのしさを知りそばに居るひとよあなたをしんじつ愛す

(執筆者:乾遥香)    沈黙のたのしさを知りそばに居るひとよあなたをしんじつ愛す  杉原一司 「沈黙のたのしさを知りそばに居る」という「短歌」らしい、よい関係性の切り取りは、相聞的な「ひと」に対する修飾として適切に思える一方...
杉原一司歌集刊行記念

【杉原一司一首評/青松輝】かつて我身をゆさぶりし激情のかへりくる日は虹かかりをれ

(執筆者:青松輝)   かつて我身をゆさぶりし激情のかへりくる日は虹かかりをれ 杉原一司 僕は22歳で、頼まれてこの評を書く。 杉原一司のことはよく知らなかった。塚本邦雄の親友、前衛短歌の先導者、夭折。それだけだ。 ...
杉原一司歌集刊行記念

【杉原令子一首評/漆原涼】しろじろと霧は流るるわれはひとりの息がせつなく野を駈けてゆく

(執筆者:漆原涼)   しろじろと霧は流るるわれはひとりの息がせつなく野を駈けてゆく 杉原令子 動詞〈流るる〉は連体形だから、〈霧〉を主題にとりながら〈われ〉も主題に取りうる。この奇妙な修飾関係に注目したい。 この点について、...
杉原一司歌集刊行記念

【杉原一司一首評/田島千捺】何を手よはらひのけむとせるやいま冬月しろく冴ゆる宙にて

(執筆者:田島千捺)   何を手よはらひのけむとせるやいま冬月しろく冴ゆる宙にて 杉原一司 「何を手よ」に驚かされた。冷え冷えとした夜の空気を感じて、何かを払いのけるような手に疑問を投げかけているが、その手は自分の手ではない...
杉原一司歌集刊行記念

【杉原一司一首評/生駒大祐】夏の陽に燒かれて日日をあるばかり石は花々のやうに開かず

(執筆者:生駒大祐)   夏の陽に燒かれて日日をあるばかり石は花々のやうに開かず  杉原一司 (『オレンヂ』掲載歌)  この歌を読んだ時に惹かれたのは、一司が有機的な対象を無機的に、無機的な対象を有機的に描いているからで...
杉原一司歌集刊行記念

【杉原一司一首評/笠木拓】お前の掌《て》に掌《て》を重ねあふみぢめさは知りゐてなほも星くらき夜を

(執筆者:笠木拓)   お前の掌てに掌てを重ねあふみぢめさは知りゐてなほも星くらき夜を 杉原一司  わたしなら「星明あかき夜を」にするだろう。天上でまぶしくすずしげに、清潔に光る星々と、求め合うからには互いに手をくださずにいら...
短歌作品

【短歌20首】旅 — 盛田志保子

  旅   盛田志保子 駅なしにかなわぬことのいくつかを思えば燃えるような心臓 生きたまま仕留めた夏を数か月先の未来に置きにいく夢 肝試しのマインドに近いあの闇は本物だって言い続けたい 朝早く起きれば山に登る日の暗い覚悟と聳える...
異郷幻灯

【異郷幻灯】05.新潟——ながや宏高

旅先で訪れた町や、行ったことはないのになぜか心惹かれる場所、また、旅を詠った詩歌について……。そんな、心の中にある「異郷」をテーマに、自由な切り口からエッセイを書いていただくリレーエッセイ企画、第五回は歌人で、杉崎恒夫の調査・研究をされて...
杉原一司歌集刊行記念

【杉原一司一首評/狩峰隆希】硝子器の罅を愛すとあざやかに書けばいつしか秋となりゐる

(執筆者:狩峰隆希) 硝子器の罅を愛すとあざやかに書けばいつしか秋となりゐる 杉原一司 長い休みが終わったり夜のあいだだけ冷えるようになったり、季節の変わり目にはいくつもの兆候があるけれど、ここでは「硝子器の罅を愛す」という一...
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【杉原一司一首評/髙良真実】雲などはしやくとり虫のやうに浮き地平にとどく脊髄の翳

(執筆者:髙良真実) 雲などはしやくとり虫のやうに浮き地平にとどく脊髄の翳 杉原一司  連作「内部について」の二首目である。『杉原一司 メトード歌文集』(杉原一司歌集刊行会, 2020) p10より引用した。発表されたテクスト...
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